コラムの趣旨
ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。
著者プロフィール
藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)
ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。
第46回 ECマーケティングを理解しよう
今回のコラムでは、ECマーケティングについて解説します。ECマーケティングとは、ECサイトの売り上げを伸ばすことを目的とした取り組みのことを指します。ECサイトの売り上げは、基本的にはアクセス数×購入率×客単価の3つの要素から成り立ちます。また、ECマーケティングで成果をあげるポイントは、①プロモーション対策、②CVR向上のための対策、③ユーザーに再訪してもらうための対策の3点をそれぞれ正しく理解し、実行することです。
①プロモーション対策
プロモーション対策としては、まずターゲットユーザーを増やすことを目的とするのが良いでしょう。そのために、以下の対策が有効であると言われています。
・SEO対策
SEO対策とは、検索エンジンが読み込むWebサイトのソースコード(HTML)を、検索エンジンが読みやすいように制作、調整することで、上位表示させる方法です。SEO対策は、まずターゲットとする検索キーワードを決めるところからスタートし、その後、サイトの構造自体を整備する内部施工、サイトを取り巻く環境を整備する外部施工といった対策を行っていきます。サイトへのアクセス数を伸ばしたいときに、真っ先に取り組むべき施策です。
・アクセスデータの分析
ユーザーがどのようなキーワードを検索してサイト訪問や商品購入に至るか、いつどんなときにサイトへ訪問するのかといったデータを分析することは、ECマーケティングの基本になります。
・リスティング広告の活用
リスティング広告とは、広告主があらかじめ指定したキーワードが検索されたときに、その検索結果ページに広告バナーを表示させる手法です。検索広告、検索連動型広告、PPC広告とも呼ばれています。リスティング広告は、最もアクセスの獲得効率が高いインターネット広告であるといわれており、サイトへのアクセス数を伸ばすために有効です。
・ディスプレイ広告の活用
ディスプレイ広告とは、検索エンジンやWebサイトなどの広告枠に表示されるバナー広告のことです。
たとえクリックされなくても広告自体が一定の割合でユーザーの目に入るため、知名度や認知度の向上が期待できます。
・SNS広告の活用
SNS広告とは、SNSを利用した広告です。SNS広告は、ターゲットにしているユーザーの属性を絞り込むことができるため、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなど各SNSが保持しているユーザーに直接アプローチできるのが魅力です。
・コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、収益を生むユーザーに、価値あるコンテンツを制作および提供し続けることでユーザーを惹きつけ、その状態を維持し、エンゲージメントを生み出すことによって、最終的な収益に繋がる行動をユーザーに取ってもらうための一連の手法であるといわれています。ユーザーの関心のあるコンテンツを増やし、自社サイトのファンになってもらうことで一定の集客が見込めます。
②CVR向上のための対策
CVR(conversion rate)とは、Webサイトへのアクセス数、またはユニークユーザー数のうち、実際にコンバージョンに到達した割合です。CVR向上のためには、以下の対策が有効であるといわれています。
・LPO対策
LPO対策とは、検索エンジンや広告キャンペーンページなどからユーザーが最初に訪問するページ(これをランディングページと呼びます)を、ユーザーにとってより魅力あるもの、そしてクロージングに直結したものに工夫することで、コンバージョン率を上げるという対策です。
・サイト内検索の充実
サイト内検索の充実とは、ユーザーにサイト内でスムーズに目当ての商品を探してもらうための対策です。分かりやすい位置に検索窓を設置したり、カテゴリーメニューを設置するなどの方法があります。
・おすすめ商品の表示(レコメンド機能の充実)
レコメンド機能とは、ユーザーの過去の購買実績などから、それぞれのユーザーの嗜好に最も合致していると思われる商品のPRなどをユーザーが見ているサイト上に表示する機能で、いわゆる『おすすめ』機能のことを指します。しかし、個人情報を収集し活用するため、批判の声もある手法です。
・UI/UXの見直し
UI(ユーザーインターフェース)とは、Webサイトの見た目のことで、UX(ユーザーエクスペリエンス)とはユーザーがWebサイトを通して得られる体験のことです。UI/UXの見直しを行い、よりユーザーが利用しやすいサイトの構成を目指しましょう。例えばショッピングカート内のUI/UXを見直し、注文を終えるためのクリック数を減らして、よりユーザーが利用しやすいようなカートを実現するなどといった対策があります。
・かご落ち商品に対する対策
かご落ち商品とは、ユーザーがショッピングカートに商品を入れたまま購入に至らない商品のことです。かご落ちの原因は入力フォームのUIが分かりにくかったり、商品を購入する段階で送料や手数料がかかることが分かり購入をやめてしまう、といったことが原因といわれています。入力フォームの改善や、送料や手数料の記載を分かりやすくするなどといった対策が必要になります。
③ユーザーに再訪してもらうための対策
リピーターを獲得することは、安定的な売り上げにつながります。リピーターを獲得するには、以下の対策が有効であるといわれています。
・ECサイトのアプリ化
ECサイトをアプリ化することで、ユーザーにプッシュ通知をすることが可能になり、一定のリピーター効果が期待できます。ロイヤリティーの高い大手のサイトに向いている施策であるといわれています。
・クーポンや会員ポイントの配布
クーポンや会員限定のポイントを配布することで、ユーザーの囲い込みや再訪の可能性が高まります。
・リマーケティング広告
リマーケティング広告は、一度Webサイトを訪れたユーザーを追跡して表示する広告です。自社の商品やサービスに興味を持っている可能性の高いユーザーをターゲットにしているため、ピンポイントにアプローチすることが可能であるといわれています。
・メールマガジンの配信
メールマガジンはユーザーとのコミュニケーションの手段として有効であり、特定分野の情報を定期的にキャッチアップしたいと考えているユーザーにとっては特に有効です。メールボックスでタイトルだけを見ても興味を引くようなタイトルを付けたり、送信日時に配慮した配信を行うのがよいでしょう。
ECマーケティングでは、アクセスを売り上げにつなげることが何よりも重要といえます。一見、行うべき対策がたくさんありますが、1つずつ地道に行っていくことで成果をあげる可能性をより高めることができます。ECサイトは地理的な制限を受けずに商品やサービスを提供することが可能なので、上手く成果をあげれば、莫大な利益を見込めます。また、対面での接客が不要であり、時流に見合った施策であるといえます。
【参考ページ】
MakeShop by GMO『ECマーケティングとは?マーケティングとの違いと特徴について解説』
https://www.makeshop.jp/main/know-how/attract/ec-marketing.html
ART TRADING『ECマーケティングとは?用語や戦略、課題などをご紹介!』
https://art-trading.co.jp/column/ec-marketing/
Yobicom『リマーケティング広告とは?効果的な導入方法や注意点を解説』
https://www.i-nobori.com/media/2885
Commerce Marketing Blog『EC担当者が行う3つのWEBマーケティングをプロが解説』
https://www.interfactory.co.jp/blog/ec-mkg/
ferret『コンテンツマーケティングとは?今さら聞けない基礎知識と使われる13の手法』
https://ferret-plus.com/2644
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