公式テキスト著者コラム

コラムの趣旨

ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。

著者プロフィール

藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)

 ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。

第22回 リレーションシップマーケティングの事例

 今回のコラムでは、リレーションシップマーケティングについて取り上げていきます。
 リレーションシップマーケティングとは、既存のユーザーとの関係をより深め、個別のニーズに対応し、ユーザーのロイヤリティを高めることで利益を増加させる手法です。市場シェアを拡大するのではなく、1人のユーザーにおけるシェアの拡大を目指すマーケティングです。
 リレーションシップマーケティングのメリットとしては、新規の顧客を獲得するよりもコストを抑えられ、顧客の口コミが期待できる点が挙げられます。



 以下に、リレーションシップマーケティングで成功している企業の事例をご紹介します。
 大手ホテルチェーン「ザ・リッツ・カールトン」は、宿泊客のデータを一元管理し、一人一人の好みに合わせた極め細やかなサービスを提供することで、リピーターを獲得し続けています。顧客との良好な関係性を保ちながら、利益を増加させているのはリレーションシップマーケティングの成功例といえます。
 また、米国のレンタカー会社「ダラー・レンタカー」は、顧客の会員登録の有無や、利用日までの日数といったステータスに応じて様々なチャネルで予約のリマインドを実施し、常に自社を想起させる施策を行い、結果として顧客にキャンセルされても、後日またダラー・レンタカーを選んでもらえるようにリマインドされる工夫をしています。
 さらに、大手ネット通販サイトの「Amazon」もリレーションシップマーケティングを上手く実践しています。Amazonのサイトにはレコメンド機能が存在します。これはユーザーの過去の購買実績などから、それぞれのユーザーの嗜好に最も合致していると思われる商品のPRなどを、ユーザーが見ているサイト上に表示する機能です。こういった機能は個人情報を活用するため、批判されることもありますが、しっかりとユーザーとコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要といえます。



 リレーションシップマーケティングが最も注目するのは、LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)です。これはユーザーが長期に渡って購入し続ける商品やサービスのトータル価値を表しており、生涯の購入総額においてシェアをどれだけ獲得するのかが重要となります。
 新規の顧客獲得には相応のコストがかかり、投入するリソース(資源)も大きくなります。新規顧客獲得よりも既存の顧客とのリレーションシップ構築を最優先にすべきだと主張する企業もあり、成熟市場がターゲットの場合により有効なマーケティング手法といわれています。


【参考ページ】

リレーションシップ・マーケティング
https://ja.wikipedia.org/wiki/リレーションシップ・マーケティング


「リレーションシップファースト」へのパラダイムシフトが起こりつつある米国のデジタルマーケティング
https://webtan.impress.co.jp/e/2012/07/31/13200

リレーションシップマーケティングとは?メリット・具体的な手法
https://www.roadmap.co.jp/service/cmktg0023.html

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