公式テキスト著者コラム

コラムの趣旨

ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。

著者プロフィール

藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)

 ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。

第51回 クラウドコンピューティングの特徴

今回のコラムのテーマはクラウドコンピューティングです。クラウドコンピューティングとは、主にインターネット上に存在するサーバー、ストレージ、データベース、アプリケーションなどをサービスに利用する形態のことを指します。

クラウドコンピューティングのサービス形態は、主にソフトウェアそのものを提供する「SaaS(サース/Software as a Service)」、開発環境を提供する「PaaS(パース/Platform as a Service)」、ソフトウェアを実行するための仮想サーバーやストレージなどのインフラ機能を提供する「IaaS(イアース/Infrastructure as a Service)」の3種類があります。

以下に、代表的なクラウドコンピューティングサービスを3つご紹介します。



①Amazon社が提供する「AWS」

Amazon社のクラウドサービス「AWS」(Amazon Web Service)は、サーバーの環境構築、データベース利用などのサービスを展開しています。多数のインターフェイスとAPIが用意されており、カスタマイズ性に優れているといった特徴があります。

②Google社が提供する「Google Cloud」

Google社のクラウドサービスである「Google Cloud」は、Gmail、YouTube、Google Mapなど、ビジネスやプライベートを問わず利用されています。AI系のサービスが充実していることが特徴です。

③Microsoft社が提供する「Microsoft Azure」

Microsoft社のクラウドサービス「Microsoft Azure」は、Windows OS、Windows Serverなどとの親和性が高く、Microsoft社の製品を使用している場合に使い勝手が良いのが特徴です。



クラウドコンピューティングのメリットやデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。以下に、クラウドコンピューティングのメリット、デメリットをいくつか挙げます。



クラウドコンピューティングのメリット

・端末と最低限の接続環境があれば利用できる

ユーザーは、特別なソフトウェアやハードウェアを準備する必要はなく、スマホやPCなどの端末や接続環境だけでサービスを利用できます。

・場所や時間を問わずに利用できる

端末と接続環境があれば利用できるため、場所や時間を問わずに利用することができ、ノマドワークやテレワークなどの様々な勤務形態に適用されます。

・初期費用や、インフラに関するコストを抑えられる

クラウドコンピューティングでは、オンプレミス(サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用すること)で必要な、サーバー費用やソフトウェアの導入費用などの初期費用が発生しないため、その分コストを抑えることが可能です。また、使用料の分だけ課金する従量課金制の形態をとっているサービスを活用することでコストの最適化に繋がります。

・スピーディーで柔軟な開発が可能

例えば、自社のサイトにアクセスが集中してサーバーを増強しなければならなくなったとき、物理サーバーではコストもかかり、すぐに実機を用意できない可能性があります。しかし、クラウド上にサーバーがあった場合、すぐにサーバーを必要な分だけ追加することができます。また、クラウドサービスが提供するサーバーは、高いセキュリティ対策を施している場合が多いため、初期段階ではあまりセキュリティを意識することなく開発を進めることができます。



クラウドコンピューティングのデメリット

・インターネット環境がないと利用できない

当然ですが、インターネット上で展開されているサービスを活用するものなので、インターネット環境がないと利用できません。災害や障害が発生した場合、利用が制限される場合があります。

・自社のシステムと連携できない場合がある

すでに完成しているサービスを利用する形態のため、社内のシステムと連携ができないケースもあり、カスタマイズに限界があります。

・セキュリティリスク

セキュリティリスクに関しては、特にコンピュータに詳しくない人が使用する場合、注意が必要です。クラウドコンピューティングのサービスを導入する場合は、社内でセキュリティ研修を行うなど十分に対策を行う必要があります。



クラウドコンピューティングは昨今では業種の垣根を越えて、なくてはならないサービスとなってきています。例えば、Googleのサービスの1つであるGmailなどは、直観的に利用しやすいUIでデザインされており、幅広い年代、業種の人たちによって利用されています。またGoogleカレンダーは例えば、他の社員と共有設定することで、誰がいつどのようなスケジュールが入っているかをその場で知ることができます。セキュリティに配慮する必要はありますが、上手く使うことで業務の大幅な効率化が可能になります。

【参考ページ】

NTT東日本「クラウドとは?企業の具体例を交えてIT初心者にもわかりやすく解説」
https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-239.html


TOPGATE「クラウドコンピューティングとは何か?仕組みやメリットまで徹底解説!」
https://www.topgate.co.jp/cloud-computing


大塚商会「オンプレミス」
https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/on-premises.html

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