コラムの趣旨
ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。
著者プロフィール
藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)
ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。
第31回 パルス型消費行動とは何か
今回のコラムでは、パルス型消費行動について取り上げます。パルス型消費行動とは、「瞬間的に購買意欲が湧きあがり、その瞬間に買い物を終わらせる」といった消費行動を指します。近年のインターネットユーザーの傾向として、『買う瞬間まで知らなかったブランドを買うことに躊躇がない』、『店舗やECサイトに行く時点で、どのブランドの商品を買うか決めていない』、『暇つぶしにスマホを使って偶然知った商品をその場で買うことに躊躇がない』といった特徴があることが、Googleの調査によって明らかになりました。
さらに、Googleは2019年頃から、ユーザーの購買行動がこれまでのカスタマージャーニー型ではなく、パルス型へ変わっていくといった説を提唱しています。
パルス型消費行動以前の従来の消費者行動といえば、AIDMAモデル(Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の頭文字からなる消費者が購入に至るまでの心理プロセス)のように、ある程度の手順や時間を経て消費に至るものが一般的でした。一方、パルス型消費行動では、スマートフォンの操作中に、瞬間的に購入意欲が湧きあがり、その場で購入に踏み切るといった特徴があります。これらは、明らかに従来のカスタマージャーニー型の消費者行動とは異なるものです。ちなみに、なぜ購入に踏み切ったのかを調査しても、「なんとなく」、「ピンときた」といった回答が多かったようです。
Googleでは、パルス型消費行動を捉えるヒントとして、以下に示す「セーフティ」、「フォーミー」、「コストセーブ」、「フォロー」、「アドベンチャー」、「パワーセーブ」の6種類の直感センサーを提示しています。
1. セーフティ:「より安心安全なもの」に反応する直感センサー
2. フォーミー:「より自分にぴったりだと思うもの」に反応する直感センサー
3. コストセーブ:「お得なもの」に反応する直感センサー
4. フォロー:「売れているもの」、「第三者が推奨するもの」に反応する直感センサー
5. アドベンチャー:「知らなかったもの」、「興味をそそるもの」に反応する直感センサー
6. パワーセーブ:「買い物の労力を減らせること」に反応する直感センサー
パルス型消費行動は、一見気まぐれに見え、対策の立てづらさを感じるかもしれません。しかし、ただ場当たり的に対策を打つのではなく、例えば、動画広告やSNS広告の重要度があがっているので、そこから広く浅く攻めていき、データを収集して、試行錯誤を繰り返したり、ユーザーの直感センサーを加味したコンテンツマーケティングに注力したりする等、できることからしっかりと対策をしていくことが重要となってきます。
【参考ページ】
Google提唱のパルス型消費行動|AIDMAは古い!?今どき消費者の心理とは
https://infinity-agent.co.jp/lab/pulse-type-consumption-behavior/
買いたい気持ちは瞬間で起きる — グーグルが提唱「パルス型消費行動」とは?
https://www.advertimes.com/20190702/article295060/
バックナンバー
- 公式テキスト著者コラム 第53回 アドフラウドとは(2022年8月23日)
- 公式テキスト著者コラム 第52回 デジタルインセンティブとはなにか(2022年7月9日)
- 公式テキスト著者コラム 第51回 クラウドコンピューティングの特徴(2022年6月16日)
- 公式テキスト著者コラム 第50回 モバイルファーストインデックスの重要性(2022年5月13日)
- 公式テキスト著者コラム 第49回 SEO対策における内部施工を理解しよう(2022年4月26日)
- 公式テキスト著者コラム 第48回 Webサイトのクローリングを促すには(2022年3月18日)
- 公式テキスト著者コラム 第47回 動的リマーケティング広告の活用(2022年2月22日)
- 公式テキスト著者コラム 第46回 ECマーケティングを理解しよう(2022年1月13日)
- 公式テキスト著者コラム 第45回 重複コンテンツを避けたサイト運営をしよう (2021年12月7日)
- 公式テキスト著者コラム 第44回 スマートフォンアプリの開発方法とリリース方法 (2021年11月16日)
- 公式テキスト著者コラム 第43回 インターネットテレビとは (2021年10月11日)
- 公式テキスト著者コラム 第42回 SEOの外部対策を理解しよう (2021年9月7日)
- 公式テキスト著者コラム 第41回 SEOにおけるE-A-Tの重要性 (2021年8月5日)
- 公式テキスト著者コラム 第40回 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か (2021年7月21日)
- 公式テキスト著者コラム 第39回 テレワーク時に用いられるWeb会議ツールについて (2021年6月29日)
- 公式テキスト著者コラム 第38回 ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発 (2021年6月10日)
- 公式テキスト著者コラム 第37回 最近のICTサービスの利用動向について (2021年5月19日)
- 公式テキスト著者コラム 第36回 UIデザインのポイント (2021年4月2日)
- 公式テキスト著者コラム 第35回 A/Bテストとは何か (2021年3月9日)
- 公式テキスト著者コラム 第34回 被リンク対策とは (2021年2月24日)
- 公式テキスト著者コラム 第33回 DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは何か (2021年1月14日)
- 公式テキスト著者コラム 第32回 キャズム理論とは何か (2020年11月25日)
- 公式テキスト著者コラム 第31回 パルス型消費行動とは何か (2020年10月19日)
- 公式テキスト著者コラム 第30回 コンテンツマーケティングの概要と成功事例 (2020年9月1日)
- 公式テキスト著者コラム 第29回 ユーザーの行動文脈を可視化するカスタマージャーニーマップ (2020年8月18日)
- 公式テキスト著者コラム 第28回 「wwwあり」と「wwwなし」でSEOに影響はあるのか (2020年7月20日)
- 公式テキスト著者コラム 第27回 マーケティング環境を把握するために重要な3C分析とは (2020年6月8日)
- 公式テキスト著者コラム 第26回 CTAを意識したマーケティング (2020年4月28日)
- 公式テキスト著者コラム 第25回 ソーシャルメディアに特化した行動理論「SIPS」 (2020年4月14日)
- 公式テキスト著者コラム 第24回 パーチェスファネルとは (2020年3月27日)
- 公式テキスト著者コラム 第23回 オーディエンスデータの活用 (2020年3月2日)
- 公式テキスト著者コラム 第22回 リレーションシップマーケティングの事例 (2020年1月29日)
- 公式テキスト著者コラム 第21回 オウンドメディアの特徴と事例 (2019年12月19日)
- 公式テキスト著者コラム 第20回 防災分野におけるICT活用事例 (2019年11月12日)
- 公式テキスト著者コラム 第19回 エリアターゲティング広告とは (2019年10月3日)
- 公式テキスト著者コラム 第18回 SNS広告の種類とポイント (2019年8月28日)
- 公式テキスト著者コラム 第17回 動画広告について (2019年8月1日)
- 公式テキスト著者コラム 第16回 ライブ配信サービスについて (2019年7月2日)
- 公式テキスト著者コラム 第15回 eスポーツについて (2019年6月11日)
- 公式テキスト著者コラム 第14回 情報通信機器やインターネットの利用動向 (2019年5月14日)
- 公式テキスト著者コラム 第13回 ITの技術を駆使したインバウンド対策 (2019年4月4日)
- 公式テキスト著者コラム 第12回 AIスピーカーやウェアラブルコンピューターなどの各種端末の利用状況(2019年3月8日)
- 公式テキスト著者コラム 第11回 各種プログラミング言語について (2019年2月7日)
- 公式テキスト著者コラム 第10回 Unityのゲーミング分野以外での応用 (2019年1月8日)
- 公式テキスト著者コラム 第9回 日本のフェイクニュース対策は大丈夫か (2018年12月10日)
- 公式テキスト著者コラム 第8回 Twitterの大幅なルール改正 (2018年11月19日)
- 公式テキスト著者コラム 第7回 コンピューターウイルスについて (2018年10月15日)
- 公式テキスト著者コラム 第6回 人工知能利用例と、その危険性 (2018年9月5日)
- 公式テキスト著者コラム 第5回 著作権をどう理解する? (2018年7月27日)
- 公式テキスト著者コラム 第4回 VR技術は最先端技術か (2018年7月4日)
- 公式テキスト著者コラム 第3回 AIのAPI (2018年6月6日)
- 公式テキスト著者コラム 第2回 AIブーム今昔 (2018年5月14日)
- 公式テキスト著者コラム 第1回 HoloLens(2018年4月10日)