コラムの趣旨
ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。
著者プロフィール
藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)
ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。
第9回 日本のフェイクニュース対策は大丈夫か
英国のEU離脱が大きく話題となっていますが、米国の大統領選挙においても話題となった、フェイクニュースが国民投票の結果を左右してしまったことが混乱の原因だと言われています。
一方、日本ではどうなのでしょうか。災害時に威力を発揮していると言われるソーシャルメディアの情報拡散力が、その拡散力の大きさゆえに、不要な情報や不確かな情報が一度に大量に拡散してしまうと収拾がつかなくなり、逆に救助活動の妨げとなっているという指摘がみられます。
twitterにおいては、コピー&ペースト機能とハッシュタグ機能の二つを使うことで、発信者不明のまま大量拡散が可能となっています。こうした発信者を特定出来ない大量拡散は、tweetの発信者を特定できる、単純なリツイート機能とは明確に区別されるべきですが、利用者段階においては、それは不可能な状況です。
例えば、その内容が災害の現場で本当には起きていないものであっても、何万人にも上るフォロワーを有する利用者が、災害情報とのハッシュタグとともにその書き込みを丸ごとコピー&ペーストしてしまえば、善意の拡散力を発揮できるようになっているのです。
災害によって起こっている重大な事態に対応するには、何よりも迅速な対応が必要なため、この拡散力が、これまで多くの救助活動の情報収集に役立って来たのですが、その一方で、こうしたネット情報の真偽を確認しないまま、多数の人々が電話で地元消防署に救助要請をして混乱を招いているケースも少なくないようです。
これがフェイクニュースによって起きている問題点の一つとして捉えるべきかどうかは、最初の発信者も含めて全員が善意に基づく行動をしているため、その判断が微妙ではありますが、オリンピック開催を控えている日本としては対策を講ずる必要がありそうです。
オリンピック開催中に、最大級の台風が東京を襲う可能性はゼロではありません。その際、一番残念な事態として想像しうるのは、全ての交通機関が麻痺している都心部の至る所で、海外からの利用者が、フェイクニュースによってパニック状態に陥ったり、避難所や食料品を求めて混乱状態になることです。
先日起きた、北海道での地震でも、停電や交通機関の麻痺に加えて、外国人観光客への災害発生時の情報提供の未整備が問題点として浮上していました。
出所不明な情報をむやみに信じない、拡散させないといったことを、まずは個人が徹底して行うことが、問題解決の一歩になるのではないでしょうか。
【参考ページ】
英国フェイクニュース事情 ―政治の嘘を拡散させないためにどうするか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kobayashiginko/20171026-00077204/
【通信×防災④】災害時の情報収集に使えるTwitter活用術
https://time-space.kddi.com/kddi-now/tsushin-chikara/20160914/
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