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著作権の読み物

2026/02/09その投稿は大丈夫?SNSで著作権や肖像権を侵害しない投稿の方法とは 【弁護士執筆】

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誰もが気軽に情報を発信できる時代になりました。ホームページやブログ、X(旧Twitter)・TikTok・InstagramなどのSNSで、文章や画像、動画の投稿をした経験がある方も多いのではないでしょうか。個人的に投稿するだけでなく、ビジネスに活用される機会も増えてきました。
ただ、その気軽さゆえに、「誰かの著作権やプライバシーを侵してないか」「訴えられないか」と不安に思うこともあるでしょう。
この記事では、そういった不安を解消するために、SNS上の著作権と肖像権について解説し、SNSを利用する上で気をつけたいこと、気になる疑問について詳しく解説します。

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SNS利用における著作権の基礎知識

まずは著作権の基本をおさらいしましょう。

著作権とは

著作権のルールは、「著作権法」という法律で定められています。
「著作権」とは、簡単にいえば著作物を独占的に使用するための権利です。著作権法上、複製権(著作権法21条)、上演権・演奏権(22条)、公衆送信権・公衆伝達権(23条)、翻訳権・翻案権(27条)などが定められています。


著作権は、著作物を創作した瞬間から発生します。特許と異なり、登録などといった特別な制度はありません。
財産権としての著作権は、原則として著作者の死後70年保護され(著作権法51条2項)、相続もされます。相続人がいない場合は少し特殊で、ほかの財産権は国庫に帰属しますが、著作権は消滅することになります(著作権法62条1項1号)。

著作権侵害に当たらないようにするには、原則として著作者からOKをもらう(「許諾」と呼んでいます)か、著作権法に定められた方法で利用する(複製や引用。後で詳しく説明します)必要があることを理解しておきましょう。

出典:総務省e-Gov「著作権法」

著作物とは

それでは、著作権で保護される「著作物」とは何でしょうか。
著作などと聞くと、何となく小説のような芸術性の高いものを想像しがちです。ただ、著作権が生じる「著作物」は、著作権法には以下のように定められています。

著作物=「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)。
引用:総務省e-Gov「著作権法」


「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」というのは、芸術作品でなければならないという意味ではなく、工業製品は除くといった程度のものです。
結局、「思想又は感情を創作的に表現したもの」、つまり「人の考えや気持ちが内心にとどまらず外部にまで表れていて、そこに個性があるもの」であれば、およそ著作物に当たると考えられます。

したがって、たとえば「無名の人のブログ」であっても原則として著作物に当たりますし、文章を盗作・盗用すれば、著作権侵害になり得ます。
画像やイラストを勝手に使うことも著作権侵害になり得るため、注意が必要です。

著作権侵害に当たらない例外的な場合

先ほど、著作物は「許諾を得る」か「著作権法に定められた方法で利用」しないと、著作権侵害に当たるとご説明しました。
この、著作権法に定められた方法のうち、SNSでよく問題になるのが「私的使用のための複製」(著作権法30条)と「引用」(著作権法32条)です。

出典:総務省e-Gov「著作権法」


(1)「私的使用のための複製」
個人的または家庭内で、仕事以外の目的のために使うのであれば、著作物を複製することができます。
ただ、ここで注意しなければならないのは、「SNSは決して家庭内のような狭い空間のものではない」ということです。
ネットに載ったものは、たとえそれが流行っていないブログやホームページであっても、不特定多数の人が自由に見ることができるからです。

したがって、「私のSNSは友達しか見ないから」と考えたとしても、「私的使用のための複製」を超えていますので、著作権侵害に当たります。

(2)「引用」
適法に引用することで、著作物を利用することができます。
ただ、この「適法な引用」というのはかなり難しい条件が課されており、引用は著作権絡みの裁判で問題になりやすい類型の一つといってよいでしょう。

適法な引用というには、明瞭区別性(引用部分と本文が分かれていること)、主従関係(本文が主)を中心に、利用目的やその方法・態様、利用される著作物の種類・性質、著作権者に及ぼす影響の有無・程度などを総合考慮する傾向にあります。また、出所の明示も必要です(著作権法48条1項1号)。
出典:総務省e-Gov「著作権法」


イメージとしては、小説や漫画などを批評するために引用する(他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む)のは認められやすい方向で、それを超えて小説や漫画などの切り貼りになってしまっている(他人の著作物そのままになっている)のは認められにくい傾向にあるといえるでしょう。
漫画の切り抜き、キャラクターのイラストなどは、特にSNSで問題になりやすいものです。

著作権と合わせて理解しておきたい肖像権・パブリシティ権・プライバシー権

ここからは、著作権を学ぶ上で理解しておきたい肖像権・パブリシティ権・プライバシー権について詳しく説明します。

肖像権・パブリシティ権・プライバシー権とは

SNSの投稿で著作権と一緒に気をつけておくべきなのは、肖像権・パブリシティ権・プライバシー権です。

たとえばSNSでは、アニメや漫画の投稿と並んで、アイドルに関する投稿もよく行われています。

アニメのキャラクターなど著作物を保護するものが著作権だとすると、アイドルなど人を保護するものが肖像権などです。
著作権が著作権法という法律で決められているのとは対照的に、肖像権などは裁判例によって構築されてきた権利です。
このうち肖像権とは、勝手に自己の容貌を公表・使用されない権利のことです。肖像権というと何となく有名人を想像しがちですが、一般人であっても肖像権が認められます。

パブリシティ権とは、逆に主に著名人を対象としたものです。有名人は、その容貌や氏名そのものに商業的価値があります。「タレントの●●がパッケージに載っているから買おう」と思ったこともあるでしょう。著名人の肖像や氏名の持つ経済的価値を排他的に利用する権利を、パブリシティ権と呼んでいます。

プライバシー権とは、私生活をみだりに公開されない権利です。私生活とは、たとえば生い立ちや住所、勤務先なども含みます。この私生活上の情報の中に容貌も含めて考えることができるので、プライバシー権と肖像権は重なる、あるいはどちらかの一類型であると捉えることもあります。ただ、たとえば住所の暴露はプライバシー権のみが問題になりますし、写真への映り込みは肖像権のみの問題になりやすいので「別の権利である」ということを理解しておきましょう。

肖像権等の侵害に当たる場合

それでは、どういった場合にこうした権利の侵害になるのでしょうか。

写真への映り込みが肖像権侵害に当たるかどうかは、その人が特定できるか(判別できるか)、受忍限度(社会通念上、被害の程度が我慢できる範囲のこと)を超えているかで判断されます。受忍限度というのは、たとえば公道であれば肖像権侵害のハードルが低くなり、プライベート空間であればハードルが高くなる、といったイメージです。
念のため、モザイクをかけるなどの配慮をした方がよい場合もあるでしょう。

芸能人の写真や動画をSNSに投稿する場合は、肖像権のほか、パブリシティ権を侵害しているおそれがあります。なお、写真や動画そのものも撮影者の著作物ですので、別途著作権侵害も検討する必要があるでしょう。

パブリシティ権は芸能人の氏名も保護の対象ですから、たとえば芸能人のふりをする、いわゆるなりすましアカウントもパブリシティ権の侵害になり得ます。
知人の私生活に踏み込んだような投稿は、プライバシー権の侵害に当たり得るため注意が必要です。これも肖像権侵害と同じような基準で判断されますが、通常人に知られたくないような事情を、本人が公表していないのに明らかにする行為は、プライバシー権の侵害になると考えられます。

SNS投稿で著作権や肖像権等の侵害になる身近な例

以上の著作権や肖像権等の説明を前提に、SNSで問題になりそうな身近な例をご紹介します。どのような投稿方法であれば、著作権侵害になりにくいのかも合わせて確認しましょう。

漫画や映画の画像を投稿する

漫画や映画の切り抜き投稿はよく見られますが、これらは著作権(複製権と公衆送信権、著作隣接権など)の侵害に当たるおそれが高い行為です。
ポスターやジャケット、表紙を自分で撮影して投稿した場合でも、同じように著作権(有名人が載っていれば肖像権やパブリシティ権も)の侵害のおそれが高いといえます。

他方、X(旧Twitter)・Instagramのリポスト、ブログでは、公式SNSアカウントの投稿を埋め込むことは「引用」であるとして「著作権侵害に当たらない」といえるでしょう。ツイートのスクリーンショット(スクショ)をツイートする行為も、「引用」に当たるとして認められる場合があります。

もっとも、画像を加工する、出所のあやしい画像をリポストするなどの行為は、著作権侵害のおそれがあるため注意が必要です。

商品画像を載せて紹介する

購入したアイテムの画像をブログやInstagramなどで紹介する人も多いのではないでしょうか。
自分で撮影した場合、商標権や意匠権といった別の権利の問題が生じる場合もありますが、基本的に著作権などの問題が生じることは少ないでしょう(有名人の顔写真が写り込むなどには注意が必要です)。

他方、購入先のECサイトから商品画像を転載して紹介した場合は、基本的に著作権(複製権、公衆送信権など)の侵害に当たると考えておくとよいでしょう。
ただし、アフィリエイトリンクなど、転載が許可されている場合であれば、その許可の範囲で企業ロゴや商品画像を掲載することは可能です。

SNSのアイコンに芸能人の画像を使用する

SNSのアイコンに芸能人の画像を使用することもよく見られますが、芸能人の肖像権やパブリシティ権、他人が撮影したのであれば撮影者の著作権(公衆送信権)の侵害に当たります。
アイコンとしての使用が許可されているオフィシャル画像などを使うとよいでしょう。

テレビ番組の動画を投稿する

録画したテレビ番組の動画をSNS上にシェアする行為は、著作権(複製権、公衆送信権など)を侵害しているおそれが高いものです。
ただし、近年では正規配信サイトによるテレビ番組の共有用URLがあり、動画を投稿したい場合は、これをシェアする方法が考えられます。

動画のBGMにアーティスト楽曲を使用して投稿する

音楽にももちろん著作権があり、動画に載せれば著作権(複製権、公衆送信権など)の侵害に当たります。
JASRAC(日本音楽著作権協会)が管理する音楽作品を利用したい場合は、JASRACに利用の申し込みをし、許諾を受け、使用料を支払います。非商用利用であっても、基本的に使用料が発生すると理解しておきましょう。

もっとも、SNSの中には、すでに包括的な許諾が行われている場合があり、個々の利用者は許諾を受ける必要がないことがあります。
Instagram、Facebook、TikTokはJASRACと包括契約を結んでいるので、ミュージックライブラリ内などにある音楽であれば、BGMとして利用することができます。
執筆時点ではX(旧Twitter)は包括契約がないので、使用できません(2026年2月現在)。
詳しくは、JASRACホームページにある「利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧」をご確認ください。

話題曲の「歌ってみた」動画を投稿する

YouTubeやニコニコ動画は、上記JASRACホームページに掲載されており、個人投稿の動画であれば個別の許諾なく利用することができます。
ただし、あくまでJASRAC管理楽曲を含む動画や歌詞を利用する場合に関して包括許諾がされているので、たとえば曲を勝手にアレンジしたり、替え歌にしたりすると、別途著作権侵害のおそれが生じます。

自分で撮った飲食店や食べ物の写真を投稿する

飲食店の内部や食べ物の写真を自分で撮影し掲載する場合には、基本的に著作権の問題は生じません。
写真への映り込みは肖像権の問題が生じ得ますので、必要な範囲でモザイク処理などをするとよいでしょう。

もっとも、飲食店に「撮影禁止」の張り紙がある場合や、実際に撮影NGと言われた場合には、別途不法行為などに該当する場合があり、撮影をすべきではないでしょう。

自分で撮った有名人の写真を投稿する

有名人は、プライバシー権における受忍限度をやや広めに解されるので、イベント会場や公道での撮影であれば、肖像権などの侵害には当たらないことが多いでしょう。
もちろん、オフショットや本人が拒否をしているのに撮影し投稿すれば、プライバシー権の侵害になり得ますので、状況に応じ許可をもらうといった配慮は必要でしょう。

他方、その写真が営業目的になってくると制限の程度は大きくなります。たとえばアフィリエイトサイトに掲載すると、パブリシティ権の侵害といわれるおそれは高くなります。

著作権などの侵害に当たるとどのようなペナルティーを受けるの?

それでは、著作権などを侵害した場合、どのようなペナルティーがあるのでしょうか。

著作権侵害は、主に民事(お金のことなど)と、刑事(刑罰のこと)に分けられます。
なお、民事と刑事は両立するため、たとえば多額の賠償とされつつ有罪判決も受ける、ということも一般的です。

民事の場合

SNSで一番問題になるのは、おそらく損害賠償請求でしょう。
漫画の海賊サイトが10億円を超える訴訟をされたというのが話題になりました。ファスト映画も数億円の判決が出されています。
SNSでここまで損害賠償が膨らむことは少ないでしょうが、悪質であれば訴訟のおそれがあるというのは注意しておくべきでしょう。

民事上の措置としては、ほかに投稿削除などの差止請求、謝罪広告や訂正広告といった名誉回復措置の請求があります。
これらの前提として、発信者情報開示請求を受け、匿名での発信であったとしても投稿者が特定されることになります。

刑事の場合

著作権法は、刑罰も規定されています。
著作権侵害は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または両方を科される可能性があります(著作権法119条1項)。

近年は、ファスト映画の投稿で執行猶予付きの判決が出されたり、漫画海賊サイトの運営者に実刑判決が出されたりと、刑事裁判になる事案や重く処罰される事案が多く見られるようになった印象です。

出典:総務省e-Gov「著作権法」

私的な使用目的の場合でも

さかんにCMなどでも流されていましたが、平成24年の著作権法改正により、あくまで私的な使用目的であったとしても、無断アップロードされたものを録音・録画をした場合には、刑事罰を受けるおそれがあります。

著作権を効率よく学ぶには

企業の経営者・法務・広報の担当者やクリエイターとして、自社が著作権侵害するリスクがないか、ビジネス著作権検定の問題を解いて確かめてみましょう。
ビジネス著作権検定では、以下のような問題が出されています。

Q
著作権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
著作権を取得するには、その著作物を文化庁に登録しなければならない。
著作権者が死亡した後、その著作権を相続する者がいない場合には、著作権は消滅し、その著作物を誰でも自由に使える。
著作権を譲渡するには、登録しなければならない。
すべての著作物の著作権者は、その著作物について、創作年月日の登録を受けることができる。
このように、クイズ形式で著作権に関するリテラシーを効率的にUPしたい場合は、ビジネス著作権検定を受けてみてください。
ビジネス著作権検定
サンプル問題
(先ほどのクイズは「イ」が正解です)

執筆者プロフィール
神尾尊礼
東京大学法学部・法科大学院卒。2007年弁護士登録。埼玉弁護士会。現在、東京スタートアップ法律事務所所属。一般民事事件、刑事事件から家事事件、企業法務まで幅広く担当。企業法務は特に医療分野と教育分野に力を入れている。
電子パンフレット
検定の概要をまとめた
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