現代は、「著作物」であふれているといっても過言ではありません。「著作物」というと、漫画やアニメ、小説などをイメージしがちですが、それだけではなく、マニュアルやポスターなども、「著作物」となる場合があります。
特に会社の場合、著作物を作っているのは従業員である場合が多いですが、それらに関して権利を持つのは、実際に作った従業員なのでしょうか。それとも、会社の業務で作ったから会社のものになるのでしょうか。弁護士が詳しく解説します。
特に会社の場合、著作物を作っているのは従業員である場合が多いですが、それらに関して権利を持つのは、実際に作った従業員なのでしょうか。それとも、会社の業務で作ったから会社のものになるのでしょうか。弁護士が詳しく解説します。
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会社における著作権について
著作権と著作物について
「著作権」とは、著作物について、自分が独占的に利用して、他の人には無断で使わせないという権利です。しかし、特許等と違って著作権を取得するのに特別な手続きは必要ないので、独占的に利用できる範囲を限らないと大変なことになってしまいます。
たとえば、誰かが最初に「こんにちは」とあいさつをして、「この言葉には著作権があるんだ」ということになったら大変です。道で出会った友達にあいさつをしただけで著作権侵害になってしまいます。
そこで著作権法では、何でも著作権が認められるというわけではなく、次の4つの要件をみたすものに限り「著作物」として著作権が認められるとしています(著作権法第2条1項1号)。
①思想または感情を表現したものであること
②表現されていること
③創作性があること
④文芸、学術、美術、音楽の範囲に属していること
出典:総務省e-Gov「著作権法」
著作権者にできること
著作物を作成した著作者には、著作権として「著作者人格権」と「著作権(財産権)」という権利が与えられます。「著作者人格権」とは、一言でいうと創作した人の名誉等の人格を守るための権利で、公表するかを決める権利(公表権)や、自分の名前を載せるかを決める権利(氏名表示権)、勝手に自分の作品を改変されない権利(同一性保持権)などがあります。
「著作権(財産権)」については、まず、著作権法第21条を見てみましょう。
第21条では、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と定義されています。一見、当たり前のことを書いているように見えますね。「自分が著作者なのだから、自分の著作物を複製(コピー)できるのは当たり前じゃないか」と思う人も多いでしょう。
しかし、この条文のポイントは、そこではありません。ここでは「専有する」という言葉が使われていることに注目してみましょう。「専」の字は「専ら」、つまり、この条文では「著作物を複製する権利は著作者が専ら有しますよ」「著作者以外の人は、著作物を複製する権利がありませんよ」ということを定めているのです。
これ以外にも著作権(財産権)の条文がありますが、皆同じ「専有する」の語を使っています。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
著作権を侵害するとどうなるの?
著作権で保護された著作物を著作者の許諾なく利用すると著作権侵害となり、民事上の差止請求や損害賠償請求を受けたり、また刑事罰に処されたりする可能性があります。刑事罰は、個人が他者の著作権を侵害した場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその双方が科せられることがあります。
著作者人格権を侵害した場合は5年以下の懲役または500万以下の罰金、もしくはその双方と定められています。
特に会社の場合、両罰規定といって、著作権を侵害した場合は、行為者のほかにその法人に対しても、3億円以下の罰金が科せられることもあるので注意が必要です。
出典:国税庁 第190条関係(両罰規定等)
会社が著作者になる「職務著作」とは
違反すると刑事罰まで受けるほど強力な効果を持った、著作者にとってはありがたい著作権ですが、会社にとっては、必ずしもいいことばかりではありません。仮に会社の社員が作ったものの著作権を従業員が独占して持つと、困ったことになってしまいます。
著作権というのは、著作物について、自分以外の人には使えないようにする権利です。したがって、何の取り決めもしていないと、会社が著作物を利用する際、従業員に都度同意を得なければならなくなってしまいます。また、退職後に「もう従業員じゃないので許諾しません」と言われたら、それまで使っていた資料等が使えないことにもなってしまいかねません。
このような状況やトラブルを避けるためにあるのが、「職務著作」という制度です。
職務著作にあたるとみなされると、会社が著作者になり、従業員の同意を得ずとも著作物を利用できることになります。
著作権というのは、著作物について、自分以外の人には使えないようにする権利です。したがって、何の取り決めもしていないと、会社が著作物を利用する際、従業員に都度同意を得なければならなくなってしまいます。また、退職後に「もう従業員じゃないので許諾しません」と言われたら、それまで使っていた資料等が使えないことにもなってしまいかねません。
このような状況やトラブルを避けるためにあるのが、「職務著作」という制度です。
職務著作にあたるとみなされると、会社が著作者になり、従業員の同意を得ずとも著作物を利用できることになります。
職務著作となる要件とは
職務著作が認められて会社に著作権が帰属するには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
「職務上作成する」とは、従業員が法人等の仕事として作成することをいいます。たとえば、個人的に従業員が小説を書いて発表したとしても、職務著作にはあたりません。
以上の4つの要件をすべてみたす場合には、「職務著作」となり、法人等が著作者となります。
①法人等の発意に基づくこと
「発意に基づく」とは、その著作物を作成するとの意思決定が、直接または間接に会社の意思決定にもとづいていることをいいます。②法人等の業務に従事する者が職務上作成したものであること
「法人等の業務に従事する者」とは、会社の指揮監督の下で業務を行っている者も含まれています。指揮監督関係になければならないため、外注のデザイナー等はこれにはあたりません。一方で、直接雇用関係がなくても、派遣社員は派遣先の会社の指揮命令の下で業務を行うため、「法人等の業務に従事する者」にあたるとされています。「職務上作成する」とは、従業員が法人等の仕事として作成することをいいます。たとえば、個人的に従業員が小説を書いて発表したとしても、職務著作にはあたりません。
③法人等の名義のもとに公表するものであること
会社内のみで使用されて公表されないことも想定されるコンピュータープログラムを除き、会社の名義のもとに公表するものであることが必要です。ただし、あくまで「公表するもの」ですので、実際に公表されることまでは必要なく、会社の名義で公表する予定でありさえすれば認められます。④契約、就業規則その他に別段の定めがないこと
これは、あくまで、定めを置いていないせいで会社が著作物を利用できなくなるのを避けるという目的のものですので、別の定めがある場合にはそちらが優先されます。すなわち、契約書、就業規則などで、会社が著作者とならないことや従業員が著作者となることが定められている場合には、その定めが優先されることを理解しておきましょう。以上の4つの要件をすべてみたす場合には、「職務著作」となり、法人等が著作者となります。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
会社の著作物を扱う際に注意するポイント
次に、会社で他の人の著作物を利用する際に気をつけるべきこと、やりがちな失敗について説明します。
たとえば、家に届いた新聞記事をコピーして家族に回すというのは、皆さんも経験があるのではないでしょうか。これは、著作権法30条1項の「私的使用」といって、著作物は、「個人的」または「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」で使う場合は「私的使用」と定義され、著作者への許諾なしで自由に使うことができるとされています。
裏を返せば、会社内では「私的使用」にならないので、家庭内と同じ感覚でコピーしたり、共有サーバーに保存したりすると、著作権侵害になってしまう場合があることを理解しておきましょう。
著作物の利用が引用にあたるには、以下の項目をすべてクリアしている必要があります。
① 引用の必要性があること・・・必然性なくただにぎやかしに写真を使うのはNGです。
②引用部分とそれ以外が明瞭に区別されていること・・・文章等の場合、「」でくくるなどする必要があります。
③ 本文が主、引用部分が従であること・・・たとえば「○○に掲載されました」とだけ書いて掲載記事を全部転載するなどすると、主従が逆転しているということでNGになってしまう可能性があります。
④ 引用部分に改変が加えられていないこと・・・引用部分を勝手に変えるのは、同一性保持権の侵害になってしまいます。
⑤ 出典を明示すること・・・新聞社(出版社)名、発行年(日)、著者、ページ数などを記載する必要があります。
社内だけで使用・閲覧する場合
普段はあまり意識されないことですが、「会社」で何かを行うということは、「私的ではない」「営利目的の行為」ということになります。つまり、通常私たちが個人的な範囲で行う分には当然OKと思ってやっていることでも、実は著作権に触れるというケースがあるので、注意が必要です。たとえば、家に届いた新聞記事をコピーして家族に回すというのは、皆さんも経験があるのではないでしょうか。これは、著作権法30条1項の「私的使用」といって、著作物は、「個人的」または「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」で使う場合は「私的使用」と定義され、著作者への許諾なしで自由に使うことができるとされています。
裏を返せば、会社内では「私的使用」にならないので、家庭内と同じ感覚でコピーしたり、共有サーバーに保存したりすると、著作権侵害になってしまう場合があることを理解しておきましょう。
広報・社内報で利用する場合
広報誌はもちろん、社内だけで閲覧される社内報に載せる場合でも同じです。写真などの著作物を資料に掲載したい場合は、事前に許諾を得るか、著作権法第32条第1項に規定される「引用」の要件を満たす必要があります。著作物の利用が引用にあたるには、以下の項目をすべてクリアしている必要があります。
① 引用の必要性があること・・・必然性なくただにぎやかしに写真を使うのはNGです。
②引用部分とそれ以外が明瞭に区別されていること・・・文章等の場合、「」でくくるなどする必要があります。
③ 本文が主、引用部分が従であること・・・たとえば「○○に掲載されました」とだけ書いて掲載記事を全部転載するなどすると、主従が逆転しているということでNGになってしまう可能性があります。
④ 引用部分に改変が加えられていないこと・・・引用部分を勝手に変えるのは、同一性保持権の侵害になってしまいます。
⑤ 出典を明示すること・・・新聞社(出版社)名、発行年(日)、著者、ページ数などを記載する必要があります。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
プレゼンテーション資料として利用する場合
プレゼン資料の中で著作物を掲載する場合についても同様です。プレゼンというと、その場限りでの使用だからと思ってしまいがちですが、社内、社外問わず、ある程度の人数に向けてプレゼンを行う限り、私的使用には該当しません。フリーソフトやフリー素材を利用する場合
フリーソフトやフリー素材の使用についても注意が必要です。もちろん、商用利用可のフリー素材は、原則として自由に利用しても問題ないでしょう(ただし、そのフリー素材の出典が信頼できるかどうかという問題はあります)。しかし、「商用利用不可」の表示がされている場合、会社である限りはまず「商用」であるということになりますので、フリー素材であっても自由に利用することができません。会社における著作権侵害に関する身近な事例
社内での使用だと「ばれないだろう」と思いがちですが、実際に、会社の著作権侵害が発覚し、問題になった事例があります。
実際にあった事例として、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道が、日本経済新聞の記事を社内で無断コピーしていたことが発覚し、459万5,000円もの損害賠償が認められた事件がありました。
インターネット上の画像やイラスト、写真の無断掲載は、つい軽い気持ちでやってしまいがちですが、著作権侵害にあたる場合がありますので、注意が必要です。
新聞記事の社内でのコピー
新聞記事を社内で無断コピーすることは、私的使用にあたらず著作権侵害に問われます。実際にあった事例として、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道が、日本経済新聞の記事を社内で無断コピーしていたことが発覚し、459万5,000円もの損害賠償が認められた事件がありました。
画像の無断使用
裁判所のWEBサイトで公開されている裁判例を見ても、WEBサイトに画像を無断で掲載していたことによる賠償事例は多数あります。インターネット上の画像やイラスト、写真の無断掲載は、つい軽い気持ちでやってしまいがちですが、著作権侵害にあたる場合がありますので、注意が必要です。
著作権に関してコスパの良い対策方法とは
このように、会社における著作権の取り扱いは非常に重要ですが、一方で、費用等の問題で、都度弁護士に相談するのは現実的でないという場合も多いかと思われます。そのため、あらかじめ著作権について正しい知識を有しておくことは非常に重要です。
ビジネス著作権検定はBASIC・初級・上級に分かれており、著作権に関する基礎的な知識から、実務に即した応用力まで、幅広く問われる試験となっています。会社で著作権に携わる方はもちろん、コンテンツを発信・利用する人たちすべてにおいて重要な知識を網羅していることが特徴です。
ビジネス著作権検定はBASIC・初級・上級に分かれており、著作権に関する基礎的な知識から、実務に即した応用力まで、幅広く問われる試験となっています。会社で著作権に携わる方はもちろん、コンテンツを発信・利用する人たちすべてにおいて重要な知識を網羅していることが特徴です。
著作権について学べる動画教材
ビジネス著作権検定の受験を前提としたものとなりますが、サーティファイの動画講座では、企業やフリーランスクリエイターの創作活動で求められる知識を「初級」「上級」に分け、解説しています。ビジネス著作権検定のテキスト教材
著作権の知識をテキストでインプットしたい方には「ビジネス著作権検定 BASIC・初級公式テキスト」や「ビジネス著作権検定 公式テキスト[初級・上級]公式テキスト」の活用がおすすめです。ビジネス著作権検定の公式問題集
ビジネス著作権検定の受験から逆算された問題集です。テキストを読むだけだとなんとなくわかった気になって終わってしまいがちですが、実際に問題を解いてみると、理解のあやふやなところがわかるので、こちらの問題を解きながら学習することをおすすめします。著作権に対する理解度を確かめよう
企業の担当者として、自社が著作権侵害するリスクがないか、ビジネス著作権検定の試験問題にチャレンジして確かめてみましょう。
ビジネス著作権検定より問題
職務著作に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
ア
会社が従業員に命じて作成させたデザイン性に優れた自社広告用ポスターは、 就業規則・雇用契約等に従業員を著作者とする旨の規定がない場合、まだ公表されていなくても、会社が著作者となる。
イ
従業員が社内で勤務時間内に、会社のパソコンを使って、趣味で作成したプロ グラムの著作物の著作者は、会社である。
ウ
会社が従業員に命じて開発させた社内システムのプログラムは、対外的に公表 することを全く予定していないので、会社が著作者となるためには就業規則・雇 用契約等にその旨を規定しておかなければならない。
エ
従業員が職務上作成した著作物であっても、会社の就業規則・雇用契約等に何ら定めがない場合、実際に著作物を作った従業員が著作者となる。
クイズ形式で著作権に関するリテラシーを効率的にUPしたい場合は、ビジネス著作権検定を受けてみてください。
こちらから、サンプル問題を無料DLできます。
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(先ほどのクイズは「ア」が正解です)
執筆者プロフィール
弁護士 河野冬樹
法律事務所アルシエン パートナー弁護士。第一東京弁護士会所属。学生時代に文芸部に所属していたことから、著作権関連事件を中心に、個人の作家や漫画家等のクリエイターへの法的支援に注力している。
公式HP https://www.kawano-law.net/
公式HP https://www.kawano-law.net/
検定の概要をまとめた
電子パンフレットを
ご用意しています。
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ビジネス著作権検定の
サンプル問題を
掲載しています。
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