ビジネスにおいて、契約書の作成は欠かせません。たとえば、ロゴやキャラクターデザイン、ホームページ、プログラムなどの著作物に関する取引を行う際は、契約書を作成し、著作物の利用条件や著作権の帰属などについて明確に決めておくことが、トラブルを予防する観点から有用です。
この記事では、著作権トラブルを防ぐために必要な契約書を作成する際のポイントを、弁護士がわかりやすく解説します。
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ビジネス著作権検定は、契約書を管理する企業の経営者、法務・総務担当の皆様、個人で活躍するフリーランスの方々が、意図しない著作権トラブルに巻き込まれないためのリテラシーを身につけるためにご利用いただいています。
著作権を勉強している皆様が、知識レベルを確かめる際に活用できる、検定の無料サンプル問題を公開しているので、ぜひチェックしてみてください。
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著作権に関する契約のキホン
著作権の概要と契約の基本について説明します。
著作権とは、著作物を創作した人(著作者)が著作物を独占的に利用できる権利です。著作権者は、複製、公衆送信(インターネット上の配信など)といった著作権法が定める一定の方法による利用を自分だけが行ったり、第三者に著作権の譲渡や利用の許諾をしたりすることができます(著作権法21~27条、61条1項、63条1項)。
そのため、著作権者以外の人や企業が、既存のキャラクターを商品化したり、ロゴの作成や記事の執筆、プログラムの開発を委託したりするなど、著作物を利用してビジネスを行う場合は、著作権者から著作権の譲渡または利用許諾を受ける必要があります。
すなわち、著作物とは、人間の考えや気持ちを小説やイラスト、映像、音楽などで具体的に表現したものであり、プログラムのようなビジネスで利用されるものも、この定義を満たせば著作物に当たります(著作権法10条1項9号)。
反対に、動物が描いた絵、データや自然法則などの事実、頭の中にあるアイデア、自動車のような工業製品のデザインは、この定義を満たさないため著作物には当たりません。
著作者となるのは、原則として実際に創作をした本人ですが、企業の従業員がその職務として創作をした場合は、企業が著作者となります(著作権法15条/職務著作)。
また、共同著作物は共有者全員の合意によらなければ行使できない(著作権法65条2項)など、誰が著作(権)者で、誰が権利を行使できるのかについては、著作権法が一定のルールを定めていることを理解しておきましょう。
契約は、口約束やメールのやりとりによっても成立しますが、著作物に関する取引は、著作物の種類や利用方法が多様であるため、決めておくべき事項を決めないまま進んでしまったり、後に「言った、言わない」のトラブルになったりすることも少なくありません。
そこで、双方の合意内容や権利範囲を明確にするため、そしてそれを客観的な証拠として残しておくために、契約書の作成が重要になるのです。
著作権とはどのような権利か
著作権に関する取引を適切に行うためには、まずは著作権とはどのような権利で、どのようなルールがあるのか把握しておく必要があります。著作権とは、著作物を創作した人(著作者)が著作物を独占的に利用できる権利です。著作権者は、複製、公衆送信(インターネット上の配信など)といった著作権法が定める一定の方法による利用を自分だけが行ったり、第三者に著作権の譲渡や利用の許諾をしたりすることができます(著作権法21~27条、61条1項、63条1項)。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
そのため、著作権者以外の人や企業が、既存のキャラクターを商品化したり、ロゴの作成や記事の執筆、プログラムの開発を委託したりするなど、著作物を利用してビジネスを行う場合は、著作権者から著作権の譲渡または利用許諾を受ける必要があります。
著作権の対象となる著作物とは何か
著作権の対象となる著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)と定義されています。すなわち、著作物とは、人間の考えや気持ちを小説やイラスト、映像、音楽などで具体的に表現したものであり、プログラムのようなビジネスで利用されるものも、この定義を満たせば著作物に当たります(著作権法10条1項9号)。
引用:総務省e-Gov「著作権法」
反対に、動物が描いた絵、データや自然法則などの事実、頭の中にあるアイデア、自動車のような工業製品のデザインは、この定義を満たさないため著作物には当たりません。
著作権はいつ発生し、誰に帰属するのか
著作権は、登録や出願などの特定の方式を要しないで(無方式主義)、創作した時点で自動的に発生する権利で、著作物を創作した者(著作者)に帰属します(著作権法17条/創作者主義)。著作者となるのは、原則として実際に創作をした本人ですが、企業の従業員がその職務として創作をした場合は、企業が著作者となります(著作権法15条/職務著作)。
また、共同著作物は共有者全員の合意によらなければ行使できない(著作権法65条2項)など、誰が著作(権)者で、誰が権利を行使できるのかについては、著作権法が一定のルールを定めていることを理解しておきましょう。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
トラブル予防のために契約書を作成しておく
以上のとおり、著作者以外の人や企業が著作物を利用するためには、著作権の譲渡または利用許諾、制作業務の委託が必要で、通常これらは契約という形式で行われています。契約は、口約束やメールのやりとりによっても成立しますが、著作物に関する取引は、著作物の種類や利用方法が多様であるため、決めておくべき事項を決めないまま進んでしまったり、後に「言った、言わない」のトラブルになったりすることも少なくありません。
そこで、双方の合意内容や権利範囲を明確にするため、そしてそれを客観的な証拠として残しておくために、契約書の作成が重要になるのです。
取引場面ごとの契約書作成のポイント
著作権に関する契約には多種多様なものがありますが、以下では、比較的多くの場面で作成される契約書について解説します。
既存の著作物を利用する方法としては、著作権は著作権者に残しつつ一定の条件のもと利用の許諾(ライセンス)を受ける方法と、著作権そのものの譲渡を受ける方法があります。
利用許諾または譲渡を受けるにあたっては、まず、「現在誰が著作権者なのか=誰を契約の相手方とすべきか」の検討・確認が必要です。
契約書の内容としては、
・許諾の対象とする著作物、利用方法や掲載媒体の特定
・利用に数量的制限を設ける場合はその数量
・利用許諾の期間
・ライセンス料(1回払い方式、毎月定額方式、売り上げ連動方式、それらの組み合わせなど)
上記のような、利用条件とライセンス料についての取り決めが中心となります。
そのほか、著作物の内容や想定される利用態様によっては、以下について定めておくケースも見られます。
・第三者との間で著作権に関する紛争やクレームが生じた場合の対応方法
・独占的な許諾とするか否か
・許諾の対象である著作物が第三者の著作権を侵害していないことの保証
・著作物の利用に際して著作者を表示するか否か、その表示方法
特に、著作権のうち、翻訳権、翻案権等と二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、原則として譲渡した者に留保されたものと推定すると定められていることから(著作権法61条2項)、これらの権利も含めて譲渡の対象とするときは、その旨を契約書に特掲しておくことが必要です。
なお、著作者は、著作権とは別に、譲渡できない著作者固有の権利である「著作者人格権」(意に反する著作物の改変を拒否する権利など。著作権法18条~20条)も有しています。そのため、著作権譲渡と併せて、譲渡した側(著作者)が著作者人格権を行使しない旨の特約を定めているケースも見られます。
また、著作権譲渡後は、譲渡した側が著作物を利用することはできなくなりますが、制作実績としての公表などに限り、引き続き利用することができる旨を定めておくこともあります。
・制作物の内容(テーマ、サイズ、数量などなるべく具体的に記載する)
・制作に必要な資料の提供、制作の進め方・報告に関する事項
・著作物の納入方法・期限
・制作完了の条件
・依頼者からの修正要望対応の可否・回数
・対価(制作の対価と著作権の譲渡・許諾の対価をなるべく区別する)
また、著作権は著作者に帰属するのが著作権法の基本的ルールであるため、制作の委託だけでは、依頼者は著作物を利用する権利を確保できていません。
そのため、制作した著作物につき、利用許諾または著作権の譲渡についても記載する必要があります。その際のポイントは、前述した著作物利用許諾契約書・著作権譲渡契約書と同様です。
既存の著作物を利用する契約書①(著作物利用許諾契約書)
著作権に関する取引は、既存の著作物を利用する取引と、新たに著作物を創作する取引に分けて考えることができます。既存の著作物を利用する方法としては、著作権は著作権者に残しつつ一定の条件のもと利用の許諾(ライセンス)を受ける方法と、著作権そのものの譲渡を受ける方法があります。
利用許諾または譲渡を受けるにあたっては、まず、「現在誰が著作権者なのか=誰を契約の相手方とすべきか」の検討・確認が必要です。
契約書の内容としては、
・許諾の対象とする著作物、利用方法や掲載媒体の特定
・利用に数量的制限を設ける場合はその数量
・利用許諾の期間
・ライセンス料(1回払い方式、毎月定額方式、売り上げ連動方式、それらの組み合わせなど)
上記のような、利用条件とライセンス料についての取り決めが中心となります。
そのほか、著作物の内容や想定される利用態様によっては、以下について定めておくケースも見られます。
・第三者との間で著作権に関する紛争やクレームが生じた場合の対応方法
・独占的な許諾とするか否か
・許諾の対象である著作物が第三者の著作権を侵害していないことの保証
・著作物の利用に際して著作者を表示するか否か、その表示方法
既存の著作物を利用する契約書②(著作権譲渡契約書)
著作権には複数の内容の権利が含まれているため(著作権法21条~28条)、著作権の譲渡を受ける場合は、著作権のどの部分を譲渡するのか(全部を譲渡するのか)を明記する必要があります。特に、著作権のうち、翻訳権、翻案権等と二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、原則として譲渡した者に留保されたものと推定すると定められていることから(著作権法61条2項)、これらの権利も含めて譲渡の対象とするときは、その旨を契約書に特掲しておくことが必要です。
なお、著作者は、著作権とは別に、譲渡できない著作者固有の権利である「著作者人格権」(意に反する著作物の改変を拒否する権利など。著作権法18条~20条)も有しています。そのため、著作権譲渡と併せて、譲渡した側(著作者)が著作者人格権を行使しない旨の特約を定めているケースも見られます。
出典:総務省e-Gov「著作権法」
また、著作権譲渡後は、譲渡した側が著作物を利用することはできなくなりますが、制作実績としての公表などに限り、引き続き利用することができる旨を定めておくこともあります。
新たに著作物を創作する契約書(制作委託契約書)
新たに著作物の制作を行う取引は、制作過程や著作物の内容・質に関して当事者間で認識の齟齬(そご)が生じやすいため、以下のような制作過程や最終的な著作物に関する条件を明確にしておくことが重要です。・制作物の内容(テーマ、サイズ、数量などなるべく具体的に記載する)
・制作に必要な資料の提供、制作の進め方・報告に関する事項
・著作物の納入方法・期限
・制作完了の条件
・依頼者からの修正要望対応の可否・回数
・対価(制作の対価と著作権の譲渡・許諾の対価をなるべく区別する)
また、著作権は著作者に帰属するのが著作権法の基本的ルールであるため、制作の委託だけでは、依頼者は著作物を利用する権利を確保できていません。
そのため、制作した著作物につき、利用許諾または著作権の譲渡についても記載する必要があります。その際のポイントは、前述した著作物利用許諾契約書・著作権譲渡契約書と同様です。
契約書のひな型を使う場合の注意点
契約書のひな型も著作物?
契約書は、相当独創的な表現で作成されている場合を除き、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)であるとはいえないため、著作物に当たらず、ひな型をそのまま使用しても著作権侵害になることは通常ありません。引用:総務省e-Gov「著作権法」
ひな型をそのまま利用することにはリスクも
ひな型をそのまま使うことには、著作権侵害とは別のリスクがあります。コンテンツの種類や利用方法によって契約書に盛り込むべき条項が異なるため、適切なひな型を選択した上で適宜修正をしなければ、依頼者側はビジネスに必要な権利を確保できず、著作者側は不本意にも権利を失ってしまうことになりかねません。
法務担当者には、著作権法と既存の契約書の内容を理解して、自社に最適な内容にアレンジできる著作権の知識が求められます。
著作権の理解を深めよう
ビジネス著作権検定を受けるメリットには「知識をもとに自信を持って契約書業務を担当できる」「著作権に関する知識や活用能力を客観的に証明できる」「実力が点数でチェックできる」などが挙げられます。
法務担当者として、著作権に関する契約書作成業務にあたる方や、フリーランスで活動中の方は、ビジネス著作権検定を受験して、著作権への理解度を可視化してみましょう。
法務担当者として、著作権に関する契約書作成業務にあたる方や、フリーランスで活動中の方は、ビジネス著作権検定を受験して、著作権への理解度を可視化してみましょう。
【ビジネス著作権検定より問題】
著作権に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
ア
著作権は、その全部又は一部を移転することができる。
イ
著作権が譲渡された場合、これに伴って著作者人格権も移転する。
ウ
著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ、この許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法および条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
エ
共同著作物の著作権は、その著作権者全員の合意によらなければ、行使することができない。
このように、クイズ形式で著作権に関するリテラシーを効率的に身につけたい方には、ビジネス著作権検定がおすすめです。契約書に関する知識不足により、意図せぬトラブルに困ることがないように、ぜひビジネス著作権検定をご活用ください。
(先程のクイズは「イ」が正解です)
執筆者プロフィール
弁護士 玉川 竜大(たまがわ たつひろ)
弁護士登録後、インターネット広告会社、ひふみ総合法律事務所、国税庁(国税不服審判所)勤務を経て、2023年、玉川法律事務所を設立。企業法務を中心に、IT・エンターテインメント法務、税務紛争、スタートアップ支援など幅広く法律業務を取り扱っています。困難な事件や前例のないご相談に対しても、クライアントの皆様とのコミュニケーションを大切に、粘り強く丁寧に取り組むことを心がけています。
検定の概要をまとめた
電子パンフレットを
ご用意しています。
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ビジネス著作権検定の
サンプル問題を
掲載しています。
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