eスポーツがスポーツであるかどうか、という議論は下火となっています。
2023年には「オリンピックeスポーツシリーズ」が開幕し、2026年の「アジア競技大会」でも、前回大会に引き続きeスポーツが正式な競技として採用されています。公益性の高い大会において採用されていることから、純粋にスポーツとして認知されていることが分かります。
そしてなにより、昨今のeスポーツは、もはや新しい文化として定着しています。特に、エンターテインメント分野においての隆盛は目を見張るものがあります。2019年に書いた第15回の著者コラム「eスポーツについて」から、eスポーツの状況は大きく変わりました。
具体的な数字として、2020年1月には国内ゲーム実況ライブ配信の視聴時間が30億分に達しました。コロナ禍における巣ごもり需要やそれに伴うゲーム業界やライブ配信の盛り上がりなどが追い風となった結果です。そして2025年5月には140億分になりました。2020年に比べて、5倍近い視聴時間です。コロナ禍が落ち着いた後も視聴時間が伸びていることから、一過性の流行ではなく、日々の生活に根付いたことが分かります。
視聴時間の中には、大会・イベントの配信も含まれています。特に注目したいのはインフルエンサーやeスポーツチームによる大会・イベントの存在です。これらのイベントではeスポーツタイトルがプレイされますが、いわゆる競技シーン(プロスポーツ)とは区別されます。勝敗もさることながら、参加者がeスポーツに取り組む姿をファンに届けることも重視されています。また、練習風景も配信されるなど、本番に至るまでの過程もエンターテインメントとして機能しています。
今後、eスポーツはさらに生活の中に密着した存在になっていくと考えられます。
例えば2022年にFPSタイトル「VALORANT」で世界大会3位に輝いた日本のチームであるZETA DIVISIONは「ゲーミングライフスタイルブランド」を自称し、活動の幅を広げています。他にも、同じく日本のeスポーツチームであるCrazy Raccoonは、2022年にグッズやゲーミングスペースを提供する実店舗「CR STORE」を渋谷にオープンしました。このようなライフスタイルの提案や、ダイレクトにファンと関わる実店舗の存在は、ファンとの距離を縮めようとするチームやブランドの新たな方向性を示しています。
必然的にeスポーツを通したマーケティング(スポンサー、PR依頼など)も存在感がより大きくなっていきます。
一例として、睡眠についてソリューションを提供する株式会社ブレインスリープは、国内eスポーツチームVARRELのスポンサーであると同時に、プロゲーマーやストリーマーへのPR依頼も多く行っています。VARRELのスポンサーには他にも靴下専業企業であるTabioが名を連ねています。両社の事業は、一見するとeスポーツに関係のないように思えます。しかし、eスポーツがより身近で日常的なものになったことにより、ファンの生活に対してリーチできるようになりました。今やeスポーツは、あらゆる商品やサービスのPR窓口になり得るのです。
インフルエンサーの起用や動画配信でのプロモーションを検討する企業にとって、eスポーツは必ず押さえておきたいジャンルです。検討の際には、実際の配信も視聴し、eスポーツを楽しんでみるのはいかがでしょうか。新しい文化をぜひ肌で感じてみてください。
【参考文献】
チャンネル登録数だけ見ても,ビジネス案件に合致したゲーム配信者には出会えない。ストリーマーの実情を統計データで見る[CEDEC 2025]
https://www.4gamer.net/games/991/G999104/20250725039/
ZETA DIVISION公式ホームページ ABOUT