公式テキスト著者コラム

コラムの趣旨

ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。

著者プロフィール

藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)

 ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。

第15回 eスポーツについて

 今回のコラムでは、eスポーツについて扱っていきます。
 このコラムを読んでいる方の中にも、インターネットの配信番組等でeスポーツを観戦された方がいるかもしれません。そもそも、eスポーツとはどういったものなのでしょうか。
 一般社団法人日本eスポーツ連合のオフィシャルサイトによると、eスポーツとは「「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と定義されています。
 eスポーツ市場は未だニッチな市場といえますが、競技人口は世界で1億人を超えるともいわれており、2019年には世界のeスポーツ産業が1,000億円を超える収益を生みだすと予測されるなど、今後国内外で増加が予想される要注目の分野です。



 若い世代を中心に注目を集めているeスポーツですが、最近では、eスポーツを部活動として認めている学校が増えているようです。「勝負に勝つための思考力や戦略を立てる力なども身に付く」「集団でプレイするゲームではチームの一員としての責任感やコミュニケーション能力が培われていると感じる」などといったポジティブな意見も散見されています。



 海外のeスポーツ事情もご紹介します。
 韓国では、eスポーツが非常に盛んであり、職業としてのプロゲーマーが600人ほど存在しています。トップクラスの選手の年収は、賞金や企業とのスポンサー契約などで1億円を超えるともいわれており、eスポーツの盛り上がりは韓国のゲーム業界の発展に大きく貢献しています。
 またアメリカでは、既存のプロスポーツチームや個人投資家などが活発にeスポーツへの投資を始めています。現段階では個人投資家でも参入しやすいマーケットであるといわれており、元プロスポーツ選手が引退後に投資家として参入するケースもあるようです。
 また、NBAが人気バスケットボールビデオゲームである「NBA2K」を対戦種目としたeスポーツリーグを開幕したり、プロのeスポーツプレーヤーを輩出したりするため、高等教育機関がeスポーツ奨学金を提供し、学生としてeスポーツアスリートを受け入れているなどといった取り組みも報告されています。



 しかし、ポジティブな意見だけではありません。
「eスポーツを部活動化した場合に、公費である部費を使って練習環境を整備したり、ゲーム機器を購入してよいのか」「ゲーム依存症のリスクが高まるのではないか」「そもそもスポーツとして定義してよいのか」といった意見も見られます。



 いずれにしても、盛り上がりを見せている分野であり、より一層市場の拡大が見込まれる分野のため、今後の動向を注視すべき分野といえます。


【参考ページ】

一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト
https://jesu.or.jp/contents/about_esports/


競技人口 世界で1億人超(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36133770U8A001C1LB0000/


eスポーツが部活動に。導入した高校からは「勝負に勝つための思考力や戦略を立てる力なども身につく」の声
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5c8b4c4ce4b0d7f6b0f1cdc5


アメリカのeSportsの現状
http://www.ssf.or.jp/Default.aspx?TabId=1249

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