ビジネス著作権検定

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委員長メッセージ・コラム

委員長プロフィール 久保田 裕

  • 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事・事務局長
  • 山口大学客員教授
  • 文化審議会 著作権分科会 臨時委員
  • 文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会 専門委員
  • 文化審議会 著作権分科会 国際小委員会 専門委員
  • 公益社団法人著作権情報センター 理事
  • 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 理事
  • 特定非営利活動法人 ブロードバンドスクール協会 情報モラル担当理事

「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。

■ サーティファイ委員長コラム Vol.37

年が明けて米国から興味深い裁判の話が伝わってきました。サルが自撮りした写真の著作権は誰のものか、というものです。

事の経緯は、インドネシアの自然保護区内で、カメラマンのカメラをサルが勝手に触り、自撮り写真が撮れたことに始まります。これが実に味のある写真だったために方々で利用され、カメラマンが自分に著作権があると訴えました。ところが、これに対して動物愛護団体が、著作権はサルにあると訴えたそうです。

判決は、サルが偶然に撮影した写真はサルに著作権はない、というものでした。米国著作権局では、人が創作しないと著作物ならないとしています。これは、日本でも同様の結論になると思われます。

日本の著作権法において、著作物の定義は覚えているでしょうか。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ですね。著作物として保護されるには、「人」の思想、感情が表現されてなければならないわけです。著作物に該当するかどうかを考えるときは、常に、ここに立ち返って考える習慣を身につけておいて下さい。

そういえば、タイには象が描いた絵を売っている観光地があるそうです。この場合も、象が描いた絵に著作権はないのでしょうか。象に絵を描かせる場合は、象を道具のように使って絵を描かせたり、事前に絵の具の色の選択や絵筆の動かし方など教え込んで象に自律的に描かせたりと、調教師さんの関与の度合いと絵の表現内容によって、「人」が描いた著作物になる場合とそもそも著作物にならない場合があるでしょう。

機械が絵を描いたらどうでしょうか。例えばコンピュータやタブレットを使って描いた絵の場合は、機械を単なる画材として使っているだけですから創作者の著作物となりますよね。では、写真をパソコンに取り込んで、フォトレタッチソフトで油絵風に変換した画像はどうでしょう?これはフォトレタッチソフトの機能を使って自動的に油絵風に加工していますが、変換者の創作的加工は加えられていませんので、写真の著作物の複製物と考えるべきでしょう。それでは、プログラムが自分で学習するAI(人工知能)を持って、自動的に作成された絵の場合はどうなるのでしょう。最初にプログラムを組んだ人も想定しなかった絵を描いたとすると・・・。これも現状では著作物とはなりませんが、今後の著作権を考える上で面白いテーマだと思います。

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