ビジネス著作権検定

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委員長メッセージ・コラム

委員長プロフィール 久保田 裕

  • 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事・事務局長
  • 山口大学客員教授
  • 文化審議会 著作権分科会 臨時委員
  • 文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会 専門委員
  • 文化審議会 著作権分科会 国際小委員会 専門委員
  • 公益社団法人著作権情報センター 理事
  • 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 理事
  • 特定非営利活動法人 ブロードバンドスクール協会 情報モラル担当理事

「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。

■ サーティファイ委員長コラム Vol.28

STAP細胞の論文についてはデータの加工や他者の論文からの文章の剽窃、画像流用などさまざまな疑問や問題点が指摘され、問題となった論文は科学誌から撤回されました。
初期の報道では他者の論文等からのコピペ問題がクローズアップされましたが、著作権という観点からいえば、論文でのコピペが全て著作権侵害に当たるかというと、そういうわけでもありません。今回は、論文のコピペ問題と著作権の関係を整理したいと思います。

このコラムの読者なら既にご存じだと思いますが、著作権の対象となる著作物であることの条件は、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。コピペが著作権侵害に当たるかどうかを判断するために、まず、コピーする対象が著作物かどうか判断しなければなりません。

論文でコピーする対象としては、他人の文章、実験などの結果データ、図表などがあります。文章については、「思想または感情を創作的に表現」したものである場合が多いでしょう。それでは、実験結果のデータは、どうでしょう。実験結果を得るために、実験のやり方には創意工夫をするでしょうが、実験結果そのものは、気温や湿度などと同じ、単なる事実です。事実は、「思想または感情を創作的に表現したもの」ではありませんから、著作物ではありません。

次に、実験結果を示したグラフや実験手順などを示した図、写真などは、「思想または感情を創作的に表現」したものと言えるかも知れません。ですから、他人が作成したグラフや図などをコピペした場合は著作権の問題になると考えられます。しかし、過去に自分自身が作成した図やグラフや写真をコピペしたとしても、当該論文との関連性はともあれ、誰の著作権も侵害していません。著作権から見た場合には、自分自身が創作した図やグラフや写真を、どう利用しようと自由です。

つまり、著作権法上の問題になるのは、他人の論文やレポートなどから、勝手に他人の著作物をコピペした場合です。ところが、他人の著作物をコピペしても、著作権侵害には当たらない場合があります。次回に解説しますが、皆さんも、どういう場合が該当するか、ぜひ考えて下さい。

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